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zoom RSS 司法は誰の味方?(2)行政編2〜立法編

<<   作成日時 : 2005/05/29 18:05   >>

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 司法は正義でも良心でも法でもなくて権力者の味方です。
 そういう風に制度ができているのです。
 まず前回の補足として天皇による任命と内閣による任命の違いについて説明します。最高裁長官だけは内閣の『指名』に基づき天皇が『任命』します(憲法第6条)が、最高裁の他の裁判官は内閣が『任命』し、下級裁判所の裁判官は最高裁が『指名』した者の名簿によって内閣が『任命』します。(憲法第79条、第80条)
 ここで、天皇は国政に関する権能を有しない(憲法第4条)ので最高裁長官の任命は儀礼であるといえます。同じ憲法第6条で行政の長である首相が天皇に任命されるのとあわせたと考えればいいでしょう。ただ、首相は間接的に国民が選んでいますが、長官の指名に国民の意思が十分反映されているとはいえません。(国民審査は任命後のことですのでここでは関係ありません)
 また、内閣による『任命』ですが、最高裁の場合、任命される資格のあるものは裁判所法第41条により「 識見の高い、法律の素養のある 40 歳以上の者。少なくとも 10 人は、 高裁長官又は判事を 10 年以上か 高裁長官、判事、簡裁判事、検察官、弁護士、法律学の教授等で、通算 20 年以上」と定められ、(内閣が指名した)最高裁長官の意見を『参考に』内閣が任命しているため儀礼的に行うことは困難であり、内閣の意向が入らないほうがおかしいくらいの制度です。なお、下級裁判所の場合、同じく裁判所法第42条〜第45条に資格が定められ、最高裁の諮問機関である下級裁判所指名委員会の意見を『参考に』(内閣に影響される)最高裁が指名しています。
 このように少なくとも最高裁の裁判官は内閣の意向で選ばれます。
 また、下級審は慣例として任命拒否されたことはないというコメントもいただきましたが、それは指名後に任命しないといったら、別の人を指名する手間が増えるだけなので任命される人を指名するとかの事務的な調整が行われているとも考えられます。いずれにせよ法的に内閣の任命拒否を妨げるものがない以上最終決定権は内閣にあります。
 もっとも最高裁は内閣ができるたびに総入れ替えを行うようなものではなく空席ができた時は内閣が新しい人を選びます。そのため以前の内閣によって選ばれた裁判官に対しては、時の内閣は直接的に影響力を行使できません。
 ここまでは裁判官になるまでの問題を見てきましたが、第2回は現在任命されている裁判官に対する権力の干渉について説明します。
 行政府は裁判官を任命することはできますが、罰したり罷免したりする事はできません。(憲法第78条)それは立法府である国会が行います。
 裁判官の罷免のための弾劾を行うのは弾劾裁判所です。弾劾裁判は、衆参両議院から選ばれた国会議員20名で構成される訴追委員会からの訴えを受けて、おなじく衆参両議院から選ばれた国会議員14名によって行われます。詳細はこちら
 この弾劾裁判ですが、通常の裁判であれば判決が不服であれば上級審に控訴(上告)しますが、弾劾裁判の場合は判決(罷免)に対して、同じく弾劾裁判所に対して資格回復を請求します。昭和32年厚木簡裁判事訴追事件では饗応を受け、事実が発覚しそうになると隠蔽に奔走するなどして罷免された判事が3度にわたり資格回復請求を行った結果認められたものですが、1度目と2度目の請求理由が「路頭に迷っているから」というのは厚顔無恥の最たるものですね。このような人物が3度目で資格回復した理由も「もう過ちは犯さないと推認」した弾劾裁判所の判断によるものです。
 国民の代表である立法府(国会)が司法を監視することは間接的な司法コントロールとして三権分立の基本的な考え方ですが、現在は衆参両議院合わせて722人のうち、一割にも満たないわずか34人によって、訴追から弾劾はては資格回復までが行われます。(国民や最高裁が訴追を求めることはできますが訴追するかどうかは訴追委員会が決定します)
 一部の国会議員が法律の専門家を交えず、国会の承認すらも必要とせずに司法に介入できるのです。これで果たして立法府による監視が健全に行われているといえるでしょうか?恣意的な運用が行われる危険性が高いのです。弾劾裁判所は常設ではありませんが、訴訟委員会を構成する議員20名は決まっていますので、この議員たちは暗に司法への影響力をちらつかせることができます。議員が潔癖であるかどうかは問題ではなく、たとえ魔がさすことがあっても不当な介入ができない仕組みになっていないのが問題なのです。
 また、国民が直接最高裁判官を罷免できる国民審査制度ですが、形骸化していることは自明です。「無記入」であれば信任されたとする投票方法、衆議院選挙ですら4年ごとなのに10年に一度の審査、裁判官の主張や人格の知名度の低さなどがあいまって制度発足後一度として国民審査で罷免された裁判官はいないことも、弾劾を行う一部の国会議員にとって有利に働いています。
 こうした一部の国会議員だけで弾劾が行われる現状では国民による司法のコントロールは機能していないといえますし、この状況が司法判断において国民感情や法律よりも国会議員の決定を優先する土壌を作っているのです。次回は司法自身の問題について説明します。

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